2013年6月10日月曜日

ノルウェー子育て環境

4月にノルウェーで子供が生まれた。
俺は1週間の育児休暇と有給3週間の計4週間の休みを取った。

日本で仕事をしたことがないからなんとも言えないが、夫が4週間の休みを取得するというのはかなり難しいイメージがある。
もちろん、そういう制度は会社内にあるのだと思うが、出世や周りの目を気にせずに取得するのは厳しいのではないか?

その点、ノルウェーでは積極的な休暇取得が奨励されているように感じる。
海外で母親一人で育児をするのは大変なのだから、父親が育児に参加して
最初の大変な時期を乗り切っていこうという非常にポジティブな意見を上司、同僚からいただいた。


そして、子育てという観点でノルウェーと日本を比べたときに
ノルウェーはとても「子育て」に対して理解がある国だと思った。
俺が感じることを下記に列挙していく。

●どこでも母乳を与えられる
●ベビーカーを押して街のどこでも行ける(カフェ、レストラン)
●子供が公共の場で騒ぐことに対して寛容
●子育ての多様性を認める
●親が必ずしも自分の人生を犠牲にしない
●子供の生育データが国でデジタル管理されている
●妊娠中、出産、産後検診、予防接種が原則無料
●外国人には追加予防接種のオプションあり
●父親の育児参加が義務付けられている

ぱっと思いつくところでこのくらいがあるが、ノルウェーでは子供がいるからといって
公共の場でおとなしくしなくてはとか、子供を騒がせてはいけないとか、周りの目を気にするといったことが非常に少なく感じる。
母乳はバーでも、レストランでも、公園でも、空港でも与えられる。(ノルウェー人の友達から、ノルウェーではそんなこと気にしなくていいのよと言われた)もちろん街には授乳室、オムツ替え用のトイレがある程度ある。

お母さんだってたまに羽目をはずして遊びに行くし、何をやるにもお医者さんは「原則●●だけど、すべては親次第よ」といって、親に広い裁量を与える。

今回子供を持って思ったことは、日本の女性は出産を機に人生が180度変わってしまうのでは?ということ。すべてを子供のためにささげて、子供のためを第一に考えて行動することが大事。
ノルウェーでは、親がいかにストレスをためずに楽しく子育てできるかということが考えられているように感じる。たとえば、ノルウェーでは親が泣かれると困るからおしゃぶりをつける。確かに親の都合かもしれないけど、親が楽しめないことには子供も健全には育たないのではないのかということ。日本だと親の都合でおしゃぶりをつけられて子供がかわいそう。という意見も多く聞く。
そもそも、子供だけの都合をいつも考えて育児はできないのだから、お互いができる限り気持ちよく生活できるバランスを見つけることこそが大事なのではないかと感じる。

そして、少しでも親のストレスを和らげるような仕組みが社会全体に根付いているとも思った。カフェにはたくさんの子連れの親子がいる。子供は自由に遊んで、離乳食を食べさせたり、母親同士の交流の場にもなっているようだ。日本のカフェでベビーカーをたたまずに入店、着席してママ友と長時間人目を気にせず話せるところって言うのはそうは無い気がする。
子供が飛行機で泣いたときも、周りはとても温かい目で「かわいいね」といってくれる。

これまた日本で子育てしたことがないから比較はできないけど、俺のイメージでは日本での子育ては外からのプレッシャーが大きいと思う。公共の場では騒がないとか、場の雰囲気を壊すから●●には行けないなど。ある程度子どもができたことで制限を受けることは理解できるけど、大人のルールをすべて子供には適用できない面もあると思う。そういった社会からのプレッシャーを減らしていかないと、子育てしたいなと思いにくいのではないだろうか?(俺はいつも子供をつれて外出すると、「あぁ日本だったらもっと大変なんじゃないか?」と思うことが多々ある。)子供はある種大人を困らせて迷惑をかけるのが仕事みたいなもの。そこを何とかするのが親の務めといって、親に過度なプレッシャーがかかると、外に出るのが億劫になるし、子供を生んで育てようという意欲がどんどんそがれてしまうように感じる。

もちろん子供が生まれてから妻はまとまった睡眠がとれず大変そうである。
それでも四苦八苦しながら子供とともに自分たちも成長している気がして、毎日新鮮で楽しい。
外国での子育てに不安はつきもので、子育て先進国ノルウェーでも不安はある。それでも、今はすばらしい国で子育てさせてもらってるのだとつくづく思う。

多様性はあっていいから、子供が欲しくないという夫婦がいても良いと思う。
でも上記のような育てにくさが原因となって、欲しいけど大変だから作らないという意見があるならばそれは悲しい。

今度日本に一時帰国したときには日本の子育て事情に関して肌で感じたことをここで書いてみようと思う。

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